【タイ】なぜ銀行がフード・デリバリーを開始?タイの銀行から学ぶ最新のデジタル戦略

無料で料理デリバリーを注文できるサービスや、友達同士での割り勘サービスなど金融以外でのユニークなサービスを始めています。タイの銀行が一体何を目指しているのか、一緒に探っていきましょう!
【タイ】なぜ銀行がフード・デリバリーを開始?タイの銀行から学ぶ最新のデジタル戦略

ベクトルタイは「タイでモノを広めたい」方のマーケティング支援を行っています。今回はタイならではの新たなトレンドを紹介します。

こんにちは、ベクトルタイのTommyです。

コロナ・ショックで、各業界でますますデジタル・シフトの重要性が唱えられていますが、タイでもデジタルで最先端を行くのは、間違いなく金融業界ではないでしょうか。

タイでは、政府が主導で進める電子決済サービス(Prompt Pay)の普及により、屋台や飲食店でもQRコード決済ができたり、友人間でも電話番号で送金をしたりと、キャッシュレス化が徐々に進んでいます。

ですが、最近の銀行のトレンドはそうした金融サービスだけにはとどまりません。無料で料理デリバリーを注文できるサービスや、友達同士での割り勘サービスなど金融以外でのユニークなサービスを始めています。

今回はタイの銀行が一体何を目指しているのか、一緒に探っていきましょう!


▋最先端を走るタイの主要銀行「SCB」と「KBank」

金融サービスはもちろん、新たなサービスやプロモーションでも、目立っているのが紫色が目印のサイアム商業銀行(Siam Commercial Bank:SCB)と、緑色が目印のカシコン銀行(Kasikorn Bank:KBank)です。日系在タイ企業の皆さんもきっといずれかを利用されている方も多いのではないでしょうか。両社とも最近では、金融サービスにとどまらず、様々なユニークなサービスを多数展開しています。ではどんなサービスがあるのか、早速みてみましょう!


☞事例①:手数料無料のフード・デリバリーアプリ【Robinhood

タイにおいてフード・デリバリーサービスは、ここ数年で利用者が急増しており、Grab Food、 LINE MAN、Foodpanda などの海外発祥のサービスが主に人気となっています。コロナウイルスによる外出規制期間中はさらに需要が伸び、加盟する飲食店も急増しましたが、便利な反面、特に飲食店側が負担する手数料の高さが批判を浴びていました。

参照:Brandinside

そこで即座に動いたのがSCBです。生き残りをかける飲食店のため、2020年6月に手数料無料のフード・デリバリーアプリ「Robinhood(ロビンフッド)を発表しました。このサービスの利点は、飲食店側はSCBの銀行口座を持っていれば、手数料無料で利用でき、さらにオーダーが入ってから1時間で代金の振込まで完了できることで資金繰りにも困らない、さらに利用者側も手数料無料という画期的な仕組み。利用エリアはまだ限定的ですが、8月から正式な使用開始の予定となっており、非常に注目を浴びています。



☞事例②:飲食店運営のデジタル化を実現する【eatable】

参照:Positioning

カシコン銀行(KBank)が飲食店の「ニューノーマル」への対応に合わせて発表したのがEatable(イータブル)です。Eatableは、コロナ渦中で需要が高まる、デリバリーやテイクアウト、店内飲食の注文管理や、非接触決済等の会計プロセスなど、飲食店のデジタル・トランスフォーメーションを支える機能が備わっています。こちらもなんと、サービスはすべて利用料無料!正式な使用開始は2020年10月からとなっていますが、果たして飲食店を助ける一手となるのか、ぜひ注目したいですね。



☞事例③:割り勘もチャットボットが解決【KhunThong

参照:Brandinside

モバイルバンキングが浸透しているタイならではのサービスも登場! KBankが運営するのが、割り勘での会計時の計算と回収をしてくれるチャットボットサービス「KhunThong(クン・トーン)です。タイでも最も利用されているメッセージアプリLINEに、この「KhunThong」のアカウントを友達追加するだけで、グループメンバーからの割り勘の費用を計算してくれるだけでなく、KBankのモバイルバンキングを利用してスムーズにお金を回収するところまで自動的に動いてくれます。誰が支払ったかも一目瞭然なので、KBankの利用者同士であれば、このサービスを使えば回収をし忘れることも減るのでは?今年以内に60万人のユーザーを目指しているそうです。



☞事例④:お得なまとめ買いセールや体験をシェアする友達募集アプリ【Party Haan】

参照:droidsans

お得なまとめ買いのセール品があっても、一人では量が多すぎる、なんていう時はありませんか?そんな時に便利なのが、このSCBが提供するParty Haanです。Party Hannは、セール品やサービスの利用をシェアをしたいユーザーや、旅行やコンサートなどへに一緒に参加する同じ興味を持つ友達の募集を目的としています。中には、Netflix等の月額有料サービス代金をシェアしたり、「1個買うと1個無料」の商品を一緒に買ってシェアしたり、なんていう使い方も。なんでもありなところが、タイならではですね!


▋なぜタイの銀行に金融以外のサービスが必要となってきたのか?

では、なぜ銀行各社はこうした金融以外のサービスを提供し始めているのでしょうか?

理由①☞顧客との接点はモバイルに移行

世界的なデジタル化の波の中で、タイの銀行ももちろん大きなインパクトを受けています。銀行の支店での顧客との接触がどんどん少なくなり、モバイルアプリでほとんどの手続きが完結するようになっています。こうしたトレンドに合わせて、タイの銀行も支店を削減する傾向にあり、2016年と比べて2020年時点で既に各行合計で624箇所の支店が閉鎖されたそうです。顧客との接点をモバイルに移行させることも意外なことでもないでしょう。

参照:Bangkokbiznews


理由②☞新たなサービスへの適合

デジタル化のもう一つの影響として、以前はなかった新しいサービスも多々登場してきました。たとえばE-Walletやノンバンクによるローンサービスなどです。また将来的には暗号通貨 (Cryptocurrency)等の普及の可能性も見込まれています。こうした新たな風潮に合わせ、顧客に利便性を感じてもらい選ばれ続けるために、長期的な視点で更に幅を広げて顧客のライフスタイルに溶け込むサービスを提供することが必要となってきています。


理由③☞ブランドロイヤリティの向上とユーザーデータの獲得

先に紹介した様々な便利なサービスも、全て無料で使えるものになっています。その裏側の狙いとして、目の前の利益ではなく、ユーザーとの接触を増やすことでブランドロイヤリティの拡大につなげることがあります。さらに、並行してユーザーのライフスタイルや嗜好性のデータベースを獲得することで、将来的に相応しい金融サービスを提案できる切り口になるとも考えられます。


▋まとめ

世界がデジタル化に向かうにつれて、各業界もその変化への適応に直面することになるでしょう。タイの銀行も現在そのトレンドに合わせて動き出し、デジタル化を有意義に活用する動きが見られてきました。タイへの進出を検討しているなら、タイ人が好むデジタル施策を理解しておくと、きっと成功への近道となるでしょう!


執筆:Tommy/編集:Mari 

Tommy | トミー

ベクトルタイのシニアマネージャー。広告代理店に長らく従事。日本への留学歴があり日本語が堪能。タイにおける日本関連の最新の話題に詳しい。最近はまっているものは、ガーデニング。育てている植物の成長を見るのが何よりの幸せ。


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