ベクトルタイは「タイでモノを広めたい」方のマーケティング支援を行っています。今回はwithコロナ時代における最新のマーケティング事例を紹介します。
参照:https://thestandard.co/sansiri-m-communi/
こんにちは、ベクトルタイのTommyです。
7月後半に入り各国でコロナウイルス第二波が到来している現在、その様子は日々タイでも大きく報道されています。タイでは国内感染は収束してはいるものの、まだまだ安心はできません。そんな日々世論や状況も移り変わる中、マーケターはニューノーマルと呼ばれるwithコロナ時代にどのように対応すればよいのでしょうか?今回は、そんなコロナ渦にもうまく対応した、タイ企業の面白い施策事例を紹介させていただきます!
▋事例1 : タレントが自宅で自撮りしたCMが3500万回再生?!【AIS】
☞課題 : 新サービスを発表するCMを制作したいが、外出制限で撮影チームが動けない
☞解決策:タレントが自宅で自撮りCM撮影
参照:https://www.youtube.com/watch?time_continue=8&v=tepUUgNtc2E&feature=emb_logo
タイの大手通信会社AISは、新サービスの5Gを紹介するCMを撮影する予定でしたが、コロナ禍に伴う政府の方針でCM撮影ができませんでした。そのため、出演タレント5名の自宅にそれぞれ撮影ツールボックスを送り、制作チームの指示を5G回線経由で聞きながら自分で撮影してもらう方法でCMを制作し、SNSで発信しました。
withコロナ期で集まれない出演者たちが地域の特産を紹介しあう内容で、全国77県共通の特産はAISの5Gネットワークだ(つまりは最強の商品)というオチで終わるこのCMは、完成版だけでなくその自宅での撮影風景も合わせて配信したことも功を奏して大きな反響を呼びました。
結果、WebCM動画はなんと合計3,500万回の再生、30万以上のエンゲージメントを獲得し、新サービス5Gの認知を大幅に獲得できました。
▋事例2 : 不動産にもライブコーマスの波到来?!住宅のバーチャルツアー【AP】
☞課題: 外出自粛のため、物件の内見ができない
☞解決策:バーチャルツアーで内覧会を開催
参照:https://web.facebook.com/watch/?v=938211249970161
コロナの渦中、不動産販売も大きく影響を受けており、特に対面販売ができないことは、各社にとっても大きな痛手になっていました。
そんな中、解決策の一つとして、タイの大手不動産開発会社APが、どこからでも希望の住宅プロジェクトを見学できるオンライン物件内覧会ツアー「vTour」を開始しました。
希望の物件と日程を予約するだけで、営業担当がバーチャルで物件を案内してくれ、同時に複数の場所から複数人でその様子を見ることができます。録画した映像ではなく、リアルタイムで担当者が物件を案内してくれるため、より実際の訪問に近い形で詳しく見たい場所を説明してくれたり、その場で担当者に質問ができたりと、効率的に物件をみられることから高評価を得ており、外出自粛期間が終わった今でも引き続き実施されています。
こうしたオンラインでインタラクティブに交流しながらセールスに繋げる動きは、不動産に限らず、様々な市場で取り入れられていくと予想されます。
▋事例3 : モールがお家にやって来る!ポップアップトラック【The Mall Group】
☞課題 : 商業施設は営業再開後も客足が伸び悩み、ECとの競争が激化
☞解決策:客が来ないなら、モールが出向く
参照:https://thestandard.co/sansiri-m-communi/
コロナ危機以前、タイ人はショッピングモールに出かけることが大人気でしたが、その反面「モール」=混んでいる場所というイメージが強いため、外出規制後も、ウイルス感染のリスクがそれなりに高いと感じてしまう人も多く、客足は完全には戻ってきませんでした。一方で外出自粛期間中から、「Lazada」や「Shopee」をはじめとしたECサイトの人気は急激に増加しており、モール各社もECサイトを強化し始めましたが、まだまだ既存のサービスには追いついていません。
そんな中、タイの高級モールを多数手掛けるThe Mall Group は、大手不動産開発会社Sansiriと連携し、富裕層が住む大型高級コンドミニアムエリアにデパートの商品を運ぶポップアップトラックを走らせて販売する施策を実施しました。その名も「BRING MALL TO YOUR HOME」。(SNSで話題になることを意識して、分かりやすいネーミングを使用)
ECのような必要なものの「目的買い」ではなく、目で見てかわいい小物やカラフルな装飾で思わず手にとってしまうような、買い物のワクワク感を思い出させるような工夫が凝らされています。(The Mall Groupのモールは、そういった仕掛けが得意です!)
また、商品を売るだけでなく、お絵かき教室などのワークショップなども開催し、楽しめる体験を提供することで、ECサイトからは得られないメリットを強調しています。
今では、徐々にモールへの客足も戻りつつありますが、ECとの共存が一気に進んだwithコロナ時代の中においても、実物を見たり手にしたり店員に紹介されて『探してはいなかったけど、つい欲しくなる』『使う場面が頭に浮かんで欲しくなる』のような“ばったり感”や“ワクワク感”を提供できるのはまだオフラインの強み。今後各社がオフラインの良さを活かした取り組みを進めていくのではないのでしょうか。
▋事例4 : タイで初・映画館のドライブインシアター【Major Cineplex】
☞課題 : 外出自粛制限が緩和されても、映画館のような閉鎖空間を避けがち
☞解決策:タイでは新しい「ドライブインシアター」
参照:https://www.brandbuffet.in.th/2020/06/major-drive-in-theater-at-centralfestival-eastville/
映画館も、緊急事態宣言で約2ヶ月半営業ができず、6月に入りようやく営業再開しましたが、多くの人が映画館のような閉鎖的な空間を引き続き避ける傾向にあります。
そこで大手映画館Major Cineplexが実施した施策は、デパートの屋上の駐車場を活用したドライブインシアターでした。この動きは世界的にちょっとしたブームになっていますが、タイではもともとドライブインシアターは馴染みがなく、タイ人にとっては新鮮な経験だったので、映画ファンには非常に好評に受け入れられました。また、競合のSF Cinemaも違う場所で同じイベントを開催したこともあり、開催は3日間と短期間にも関わらず、非常に盛り上がりを見せていました。改めてお客さんに映画館の面白さを実感してもらうための、業界を上げた動きとも見られます。
ちなみに、上映された3作品のうちの1つが「君の名は」だったそうです。最近タイではアイドルグループやNetflixドラマの影響もあって圧倒的に韓流ブームですが、日本の映画や80年代の歌謡曲もブームの兆しを見せています。
▋まとめ
このように、どの業界も予想以上に大きな影響を受けているコロナ渦中で、各ブランドが新たな環境下での売上改善施策を試行錯誤で実施しはじめています。こうしてみると、タイ企業はとてもフットワーク軽く、柔軟かつスピーディに環境に対応している印象を受けます。
逆にこの期間がきっかけで作り出した新たな施策は意外と効果的で、引き続き今後も残っていく可能性もありますので、こうした先行事例を参考に、いち早く次の波に乗りたいですね!
執筆:Tommy/編集:Nobu
Tommy | トミー
ベクトルタイのシニアマネージャー。広告代理店に長らく従事。日本への留学歴があり日本語が堪能。タイにおける日本関連の最新の話題に詳しい。最近はまっているものは、ガーデニング。育てている植物の成長を見るのが何よりの幸せ。
タイ人に向けて認知拡大、集客したいけどどうしたらよい?とお悩みの方、無料相談はこちらのフォームまたはinfo-th@vectorinc.co.jpから。お気軽にお問い合わせください