ベクトルタイは「タイでモノを広めたい」方のマーケティング支援を行っています。今回はタイ人のトレンド情報を紹介します。
▋タイでもコンタクトレス決済がますます加速中
こんにちは、ベクトルタイのSaiです。
コロナ渦中、人と接触せずに支払える「コンタクトレス決済」への移行が加速しているというニュースを目にした人も多いのではと思います。コンタクトレス決済 (Contactless Payment)とは、非接触決済とも呼ばれ、カードやスマートフォンを専用の機器にタッチしたり、またはQRコードをスキャンするだけで支払いができる決済方法の総称です。日本では楽天EdyやSuica、QUICPay等の電子マネーが人気ですが、近年はクレジットカードのタッチ決済等を使う人も徐々に増えてきているのではないでしょうか。
タイでも今このコンタクトレス決済に大きな注目が集まっています。そこで今回は「タイにおいてのコンタクトレスとは?」「タイでの利用状況の変化」「なぜコンタクトレス決済での支払いが増えたか?」を紹介したいと思います!
▋タイのコンタクトレス決済の特徴と種類
☞QRコード決済とモバイルバンキングが普及の鍵
日本ではIC型の決済(SuicaやEdy、Quickpayなど)が主流ですが、タイではQRコード型が主流となっています。IC型に比べ、QRコード型は店舗側も導入が容易なこともあり、コンビニやスーパーのみならず、タイの日常消費の大部分を占める屋台や個人経営店などPOSを利用していないような店舗でも広く導入が広まったことが、普及拡大の鍵となっています。
また、タイではクレジットカードの保有率が約10%とまだまだ少ないこともあり、モバイルバンキングを活用した銀行口座からの送金が気軽に利用されています。そのため、店舗での支払いだけでなく、友人間でも気軽にモバイルバンキングで送金をし合ったり、オンラインショッピングでも多用されています。タイではSNS上のやりとりで購入する「チャットコーマス」も主流のため、例えば、個人でFacebookやInstagram上でショップを開き、購買は「買いたいです!」とメッセージを送ると、では「この口座に振り込んでください」という簡単なやりとりでC2C間の売買が完結してしまいます。
☞タイで人気の決済「PromptPay」「Rabbit LINE Pay」「TrueMoney Wallet」
タイで最近人気の高いコンタクトレス決済は、政府主導で開発された「PromptPay」、携帯キャリアTrueの運営する「TrueMoney Wallet」、タイ版Suicaとも言うべき「Rabbit LINE Pay」等があります。
・Prompt Pay:
タイ政府が開発した電子決済で、銀行口座にIDカードや電話番号等を紐付けるだけで、QRコードや電話番号で簡単に送金ができる仕組み。異なる銀行間でも1バーツ単位で、かつ手数料無料で送金が行えることと、各銀行のモバイルバンキングアプリからQRコードを表示/読み取りして、リアルタイムに送金/着金ができるので、非常に使い勝手が良い。店舗での利用は、主に飲食店や個人店・屋台等まで広く導入が進んでいます。
・TrueMoney Wallet:
Trueはタイの大手3大通信キャリアの1つで、携帯電話では業界2位、家庭用インターネットや、ケーブルTV「True Visions」は業界1位のシェアを持ちます。そんなTrue社が運営するのが「TrueMoney (Wallet)」という電子マネーで、Trueのサービス内だけでなく、セブンイレブン等のコンビニや、レストラン、屋台等までも広く導入されています。
・Rabbit LINE Pay:
Rabbit LINE Payは日本でも展開されているLINEのモバイル決済「LINE Pay」と、バンコク主要部を走るスカイトレイン(BTS)のカードである「Rabbitカード」が提携したサービス。基本的な機能はLINE Payと同様で、LINEアプリからモバイルウォレットとして利用できるのに加え、モバイルSuicaのようにスマホでチャージしてRabbitカードを店頭で利用したり、電車乗車時にも利用できます。(ちなみに、電車の改札はまだモバイル対応はしていないので、プラスチックカードが必要です)こちらもファミリーマート等のコンビニや、ショッピングモール、カフェ、屋台等でも導入が進んでいます。
▋タイでのコンタクトレス決済の利用状況の変化
コロナ発生後、店頭で会計時の接触による感染リスクを恐れて、コンタクトレス決済が世界的に注目を浴びました。Google トレンドの検索動向によると、特に3月から4月のコロナ感染者数が世界的に急拡大した時期は、店舗での接触からの感染リスクが話題となり「現金 Covid」といったキーワードの検索が一気に増加しました。下記のグラフをみても、黒の点線が世界全体、青色の線がタイでの検索数で、タイでも同時期の3月下旬〜4月中旬に検索が増加していることがわかります。
では、コロナ感染拡大前、感染拡大中、感染収束後の変化と利用意向はどうなっているか見ていきましょう。カシコン・リサーチセンターの調査によると、コンタクトレス決済の中でも、モバイルバンキングとイーウォレットでの送金や商品やサービスを購入に関するタイ人の利用動向をみると、コロナ期間中にコンタクトレス決済の利用も加速しているのがわかります。
参照:Prachachat
■コロナウイルス感染拡大前
-利用頻度:9回/週
-最も利用する年齢層:25-34歳(11回/週 利用)
-利用用途TOP3:
1位:食べ物/飲み物(49.1%)
2位:日用品(43.9%)
3位:ファッション(22.5%)
■コロナウイルス感染拡大中(主に2020年3〜4月)
-利用頻度:利用者のうち73%が17回/週 に増加
-最も利用する年齢層:25〜44歳に拡大
■コロナウイルス感染拡大後
-利用者数:コロナ発生前と比較して、約39.8%増加
この結果によると、コロナ前後で、モバイルバンキングとイーウォレット利用が増加し、主要な利用者の年齢層は25〜34歳から25〜44歳に拡大したことが分かります。
☞コンタクトレス決済での支払いが増えた理由
理由①オンラインショッピングの利用増加と「AirPay」
コロナウイルスが流行してからオンラインショッピングの利用増加とともに、コンタクトレス決済の利用者も増加しています。例えば、タイで人気の通販サイト「Shopee」が最近ますますシェアを拡大していますが、そのShopeeが展開するモバイルウォレットサービスが「AirPay」です。(名前が紛らわしいですが、日本で展開されている「Airペイ」とは別のサービスです)Shopeeでの支払い時にAirPayを利用すると、キャッシュバックや、送料無料などの利用者向けのキャンペーンが実施されており、一気に利用が拡大しました。
参照:cbntchannel
理由②コロナ給付金の申請
タイでは、政府がコロナウイルスの影響で収入が減少した労働者に、1人当たり月5,000バーツの補助金を3カ月間給付しました。給付金の申請はインターネット上で受け付けられていますが、申請が殺到し、支給の審査に落ちた人も多く出てしまいました。そんな中で、上述した「Prompt Pay」を利用している人は給付金を早くもらえるということが話題になり、利用者が拡大したと言われています。
参照:Thairath
理由③感染予防のため
ロックダウンの規制緩和後も、タイでは感染予防としてソーシャルディスタンスを確保することと、他者との接触を避ける動きが見られています。そんな人々が再度街に繰り出すようになった後も、コンタクトレス決済はニューノーマルとして定着しつつあり、ショッピングセンターやコンビニ、タクシーや屋台などでも、QR コードを用いた決済がより利用されるようになってきています。
▋まとめ
このように、タイではコロナ後のEコマースの利用増加と、人との接触を避けたいというニーズのために、ますますコンタクトレス決済の利用が拡大しています。この拡大スピードは、電子マネー等が長年かけて徐々に拡大してきた日本から見ても、かなり急激なペースで拡大し浸透していると言えるでしょう。
ぜひ日本からタイに訪れる際や、タイに住んでいても利用したことがなかった方は、街中でどのように決済がすすんでいるのか?どういった場面で利用しているのか?注目して見てみてください!
執筆:Sai/編集:Mari
Sai | サイ
ベクトルタイのコンサルタント。学生時代は神戸に1年留学していた。動物とカフェ巡りが好きで、携帯には猫や犬などの癒し動画や写真がいっぱい。特にバンコクのかわいい猫カフェにはまっています!
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