世界における新型コロナウイルス感染症の拡大が続いています。世界で最も早く新型コロナウイルスの感染が拡大した中国では、感染対策は続けつつ、各地で経済活動の再開が進んでいます。緩やかな景気回復に向かうとともに、With/Afterコロナの時代においてのブランディングや売り上げにつながるために、新型コロナウイルスの影響によるメディア習慣やライフスタイル、消費者行動の変化を把握し、いち早く適切なPR・コミュニケーション施策を展開すべきです。今回は新型コロナ対策をめぐる中国向けの有効PR施策をご紹介します。
▋中国における新型コロナウイルス蔓延による変化
☞ メディア習慣の変化
在宅時間が長くなることで、メディア接触時間が拡大。SNSやECの利用率が大幅に向上
・SNSの活性化が促進され利用率が大幅に増加。
・調査の結果、特にWeixinを日常より多く利用したと78.7%が回答している。
・動画サイトの利用が増加。複数の動画サイトやコンテンツが、コロナウイルスウイルス蔓延期間中に無料開放を行った影響もあると思われる。
SNS上では日常的な話題が戻り始める
依然として非常事態に関連するニュースや話題が取り上げられるものの、企業活動に関する話題が非常事態ピーク時と比べ、取り上げられるようになり、中国国内で日常生活の回復と企業活動の回復が見受けられると同時に、国民のマインドが回復傾向にあると思われます。
公式情報が豊富な伝統メディアの利用率と信頼度が高まる
・調査によると、ウイルスに関する公式情報が多い伝統メディアサイトに対してユーザーの信頼度が向上し、62.4%の人が伝統メディアサイト/アプリをより信頼すると回答した。
・特に速報性の高いWEB、アプリ、Weixinの人気が高まる。
企業活動に対する世論:非常事態による値上げに反発
中国有名大型火鍋チェーン店“海底撈”が、春節明けの値上げに対し、SNS上でアンケートが実施され話題になりました。リスクになりかけましたが、同社の即時謝罪と価格の引き戻しで解決しました。現在のネットユーザー(消費者)は、感情的で敏感なため、消費者とのコミュニケーション管理がより重要となります。
☞ ライフスタイルの変化
健康意識の上昇。日頃の衛生環境や体力づくりへの関心が高まる
・健康関連のキーワード検索数が上昇。健康意識の高まりから、食事や運動などに気を遣う傾向がみられる。
・SNSにてヘルシーな自炊の写真が多数アップされている。出前よりも自炊をするように。また、個人の箸で料理を突きあうのではなく、“公筷(取り箸)”を使用家庭が増えた。
「他人を守る」アクティビティへの関心が高まる
・戦う医療関係者などを見た人々は、ボランティアや寄付など“他人のため”のアクティビティに関心を寄せている。
・寄付などを行った企業のCSR活動も一般の人々にも影響を与えた。
☞ 消費者行動の変化
昨年のネットユーザーのネットショッピング平均値と比べ、非常事態期間であった2020年第1四半期のショッピング需要は食品飲料、生鮮食品、医薬保険と必要品以外は、大幅な減少傾向です。しかし、在宅期間が長くなり、ネット娯楽への利用率が大幅に高まり、ユーザーの年齢層も拡大。事態収束後のユーザー構成の拡がりに関心が寄せられます。
消費前の情報源は従来どおりWechatがNo.1
中国大手ECアプリ3社の流入は、いずれもWechatを始めとするSNSからの流入が主となり、口コミ記事や広告で、消費者の興味を引きつけ、入店へ促す力が見受けられます。
蔓延後に購入予定の製品は、スポーツ用品と日用品が多数
UBS Evidence Labの調査により、
・アンケート回答者の42%は、スポーツとレクリエーションを今後積極的にやりたいと回答。
・36%が日用品の消費を増やす計画をしている。
ネット娯楽とネットショッピングでの消費率が増加
UBS Evidence Labの調査により、
・55歳以上は消費が以前よりも増えたと回答した人が多い。
・18-24歳はネット娯楽への課金が増えたと答える一方で、ネットショッピングは多くないという結果に。学校等が休みになったため、ネット娯楽への使用が集中したという予想もできる。
貯金の重要性を再認識するように。衝動買いをせず、理性的な消費を目指す
・ウイルスの影響で経済活動が停滞したことで、貯蓄の重要性を再認識する人が増加。
・いわゆる今までの「月光族(給料をすぐに使い切ってしまう人)」は、今後は理性的な消費を意識するように。
▋新型コロナ対策をめぐる中国向けのPR施策
ウィルス拡大ピーク時期では、オンラインメディアを有効活用し、社会貢献をフックに各企業のブランドイメージアップを図る動きが目立ちましたが、ピークを過ぎた収束期では、さらにSNSの活用方法に工夫がみられ、オンライン発表会が行われたり、新たなライブコマースの形が出現したりと、非常事態時に拡大したネットユーザーの消費行動に連動して商機を見出しています。
おすすめPR施策① WEBリリース配信
検索エンジン上でのSEO対策としても有効
新型コロナウイルス感染が拡大した2020年の春節では、情報を手に入れるため、インターネット利用者は急増。信頼性と影響力の高いネットメディアが重要な情報源となりました。中国では最も百度(Baidu)が利用されています。アクティブユーザー数トップ3のブラウザ「百度」「QQブラウザ」「UCブラウザ」は、いずれも2019年よりもユーザーが増加しました。
オンラインの施策の中でも、WEBのリリース配信は、多彩なジャンルのメディアで配信できる、速報性に優れている、転載されるといったメリットがあります。また、検索エンジン上でのSEO対策としても有効です。
おすすめPR施策② APPリリース配信
さらにターゲティングして情報を届ける
ターゲット属性と親和性の高いニュースアプリの約400チャネルから配信プラットフォームが選定できます。さらに、ニュースのジャンルとユーザーの興味に合わせてアプリのシステムが配信を行うため、WEB媒体よりもさらにターゲティングして情報を届けることができます。発信後、閲読数・コメント数・転送数・お気に入り数等のデータも確認可能です(メディアによって獲得できるデータは異なります)。
おすすめPR施策③ Weixinモーメンツ広告
情報共有・情報拡散が期待できる
中国版LINEである「Weixin」のモーメンツ(LINEのタイムラインのようなもの)広告は、自社の情報に興味関心のありそうなユーザーに限定して情報発信していくことが可能です。年齢・性別・地域・興味・OS・接続環境に合わせて絞りこみができます。
ユーザー個人のモーメンツへと直接、他の投稿と同じように配信することができ、ユーザー間の情報シェアの合間に入ることで多くの情報共有・情報拡散が期待できます。中国において、モーメンツのアクティブ数は、7.5億/日以上にのぼります。
おすすめPR施策④ RED KOC 口コミ投稿
EC機能があるRED
ユーザー数3億を超える中国版インスタグラム「小紅書(RED)」にて、KOC(Key Opinion Consumer)による口コミを増やすことで商品の購買に繋げます。KOCは、本人が実際に体験した信頼性の高い情報を発信する消費者のことを指します。フォロワー数や閲読数よりも、消費行動の指標となりやすいコレクト(お気に入り数)が重視されます。LEDはEC機能があるため、口コミを見たユーザーがそのまま購入することが可能です。
おすすめPR施策⑤ 抖音広告配信
「抖音」はTikTokと同様の動画コンテンツプラットフォームですが、日本に比べ、老略男女問わず幅広く見られていることが特徴です。アクティブ数は4億以上に達する中国を代表する情報共有プラットフォームとなっています。以下はおすすめの「抖音」広告種類を紹介します。
① 起動時 全画面広告
アプリが起動した際に表示される広告。写真またはショート動画(無音)形式で全画面に現れることで、ユーザーに大きなインパクトを与えます。地域、年齢、性別、端末、興味別にターゲティングすることが可能です。
② フィード広告
動画と動画の間に挿入されるフィード広告。写真とショート動画(音声あり)を選ぶことが可能。転送することや、APP STOREへの誘導リンクを付けることもできます。ターゲティングは、地域、年齢、性別、端末、興味別にターゲティングすることが可能です。
おすすめPR施策⑥ 抖音KOL配信
淘宝やTmall等のECプラットフォームへ消費行動を誘導可能
人気のKOL(インフルエンサー)に動画やライブ放送で商品を紹介してもらいます。同ページにて淘宝(Taobao)や天猫(Tmall)等のECプラットフォームのリンクを付けることができるため、ユーザーをスムーズに消費行動へ誘導させることが可能です。
おすすめPR施策⑦ オンラインイベント
コストパフォーマンスが良い!ウイルスに関係なくすぐに出展できる
ウイルス蔓延の影響でオフラインイベントの延期・中止が立て続けに起こり、大きなロスが出た企業も少なくないです。オンラインイベントであれば、ウイルスの影響を受けずにスムーズに進行することができます。
【オンラインイベントの事例】
・BMW:
百家云(Baijiayun)にて、生放送での新製品発表会を実施。時間は約15分間。(日時:2020年3月3日15:15~)
参考URL:https://baijiahao.baidu.com/s?id=1660220030347576529&wfr=spider&for=pc
・Meco果汁茶:
「Meco天猫官方旗舰店」にて生放送での新製品発表会を実施。ゲストに2名のインフルエンサーを招いた。視聴者数は105万超え、いいね数は約942万に上った。またその放送で、6,000箱の売り上げを記録。(日時:2020年4月18日12:00~)
・上海家化:
日用化学製品を作る上海家化が生放送での新製品発表会を実施。ゲストに李佳琦を招待。“生放送+人気配信者”で企業の若者化を狙った。また、生放送前にはバーチャルショッピング街を展開し、消費者にインタラクティブな体験を提供している。(日時:2020年3月23日)
URL:finance.sina.com.cn/stock/relnews/cn/2020-03-23/doc-iimxxsth1244196.shtml
おすすめPR施策⑧ IPコラボ
著名なキャラクターとコラボレーション
映画やテレビ産業の市場規模は年々増加し、2020年には3,363億を達成します。特に2020年は新型コロナウイルス蔓延により、人々の在宅時間が長いためホームエンターテイメントに関する消費が急増しています。ドラマや映画で著名なキャラクターとコラボレーションすることで、視聴者に製品を印象付けることができます。中国で著名なアニメ、『鬼吹灯』『マスターオブスキル 全職高手』『扶摇皇后』『将夜』などのIPコラボが実施可能です。
【実施例】マクドナルド×全職高手(アニメーション)
①プレイスメント:作品中に製品を入れ込むことで、ファンの印象付けを行う。
②コラボレーション商品、グッズ:キャラクターとコラボレーションしたキャンペーンやプレゼントを作ることで、消費行動を促す。
③コラボレーション店舗:コラボレーションカフェ等オフラインでのイベントでタイアップすることで、話題化を狙う。
④CM作成:キャラクターとコラボレーションしたCMを作成。インパクトの強い動画を作成することができる。
効果:
・当アニメーションは、累計放映本数は8億を超え、1話当たりの放映本数は6.7千万本。非常に人気にアニメにタイアップしたことで、多くのファンがマクドナルドの商品を目にした。
・コラボレーション店舗は、アニメーションのファンが多数訪れ、4時間を超える行列ができた。
いかがでしょうか?アジア9ヵ国・13地域に海外拠点を持つベクトルは、中国では上海・北京・広州の三つの拠点があります。多くの日系企業の中国におけるPR・プロモーション企画やマーケティングコンサルティングを担当しております。中国のメディアとマーケットにとって最適なコミュニケーション戦略の立案から、具体的な施策実行まで、ワンストップでサービスを提供いたします。企業様今後のマーケティング・PR施策についてお手伝いしたいと考えておりますので、お気軽にお問合せください。
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ベクトルは中国、香港、台湾、韓国、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア・シンガポール、ハワイに海外拠点を持つコミュニケーションカンパニーとして、「海外でモノを広めたい」企業様、自治体様のPR・マーケティング支援を行っています。
2020年最新の『PRWEEK』では「アジアパシフィックエリアでの総合PR会社 売上第1位」に認定され、圧倒的な存在感と実績を有しています。
日本で培った最先端のPR手法と、海外の「現地事情」やトレンドに合わせたPR施策や、進出前、進出時の市場調査、ブランディング、認知拡大/インバウンドプロモーション、販促プロモーション等様々なご要望にお応えしています。幅広いPRメニューに対応していますので、お気軽にお問い合わせください。